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イソップ童話を日本語訳そして、大人だから欲しい生きるヒント

2000年以上もの時を超え、世界中で語り継がれてきたイソップ童話。主に動物たちの姿で語られる短い物語の中には、道徳的な教訓がふくまれている。それはご存じのかたも多いでしょう。

けれど、それぞれの物語から得られる教訓は決してひとつではなく、その時々の読み手の環境や心境によってさまざまな気づきを得ることができます。子ども同士で、家族で話し合うことで自分たちに適した教訓を導き出すこともできるように書かれています。

基本的には人間社会を上手に生きていくためのヒント、ときにはずる賢いと感じる知恵も…!
それはつまり、逆からみれば、ずる賢い悪人から身を守るヒントにもなるんです。

ここではイソップ童話の英語全集を日本語訳で紹介し、一般的な教訓から、現代のわたしたち…特にわたしが欲しいと思った知恵を紹介しています。

今回は「きつねとぶどう」「金の卵を産むガチョウ」「ネコとネズミ」「厄介者になった犬」「炭焼きと縮絨工」の5編です。

出典はThe Project Gutenbergのこちら

「きつねとぶどう」

「狐と葡萄」日本語訳

「キツネとブドウ」

お腹を空かせたキツネが、立派なぶどうの実がなっているのを見つけました。ブドウは高い棚にそって伸びたつるにぶら下がっています。
キツネはできるだけ高く飛び上がって、ぶどうを取ろうとしました。

けれど何度やっても無駄でした。どうしても、もう少しのところで届かないのです。やがてキツネはぶどうを取ろうとするのを諦めました。
堂々と、何も気にしていない、というふうに歩き出し、最後にこう言ったのです。
「最初はぶどうが熟していると思ったけど、今見たらわかるぞ、絶対、ものすごくすっぱいんだ」

THE FOX AND THE GRAPES
A hungry Fox saw some fine bunches of Grapes hanging from a vine that was trained along a high trellis, and did his best to reach them by jumping as high as he could into the air. But it was all in vain, for they were just out of reach: so he gave up trying, and walked away with an air of dignity and unconcern, remarking, “I thought those Grapes were ripe, but I see now they are quite sour.”

教訓、一般的には、

手に入れることができない対象について、その価値を低く評価することで、努力しない言い訳をするのは、よくあること…ですが、

本当に手に入れたいものがあるなら、負け惜しみで自分を誤魔化さず、現実を知ったうえでさらに努力することが大切だ…。

わたしの最初の感想から考察、「みんな一緒なのね~」から

みんな一緒なんですねぇ。

確かに、捨て台詞はカッコ悪いけども…。
2000年以上前から、人はこういうとき、みんなこんな気持ちになるものなんだなぁ、と、確認。

負け惜しみで自分に言い訳するのは、自分だけじゃない。だから、

心が折れたっていいし、
ちょっとくらいならいじけて休んだっていいじゃない!

「金の卵を産むガチョウ」

日本語訳「金の卵を産むガチョウ」

「金の卵を産むガチョウ」

ある夫婦は、幸運なことに、毎日金の卵を産むガチョウを手にしていました。この夫婦は、恵まれているにもかかわらず、だんだん物足りなく感じ始めます。

「もっと早くお金持ちになりたい」と思ったのです。それからそのガチョウは、体の中まで金でできていると考えました。ガチョウの体の中の金をいっぺんに手に入れるために、2人はガチョウを殺してしまうことにしたのです。けれど、2人がさばいてみると、そのガチョウの体は、他のふつうのガチョウとまったく同じでした。

こうしていっぺんにお金持ちになろうとした2人は、もう毎日1個の卵を手に入れることもできなくなりました。

欲張りすぎるとすべてを失うのです。

THE GOOSE THAT LAID THE GOLDEN EGGS
A Man and his Wife had the good fortune to possess a Goose which laid a Golden Egg every day. Lucky though they were, they soon began to think they were not getting rich fast enough, and, imagining the bird must be made of gold inside, they decided to kill it in order to secure the whole store of precious metal at once. But when they cut it open they found it was just like any other goose. Thus, they neither got rich all at once, as they had hoped, nor enjoyed any longer the daily addition to their wealth.
Much wants more and loses all.

教訓:欲張りすぎると逆に何もかも失う

欲張りすぎるとすべてを失う!……と書いてあるけど、本当にそうなの?

納得いかないんですけど…!?
欲張りをただ否定するのではなく、もっと欲しいと思ったとき、そのための方法をしっかり考えましょうよ!では?

この夫婦は、ガチョウを殺したことで、それ以後、金の卵を手にすることはできなくなりましたが、それまでに手にした金の卵まですべてを失ったわけではありません。

もっと!と思うことは、言葉を変えれば向上心!

欲は悪いと決めつけるものではなく、反省すべきは、夫婦がほかの方法を検討しなかったこと。
ほかの…、たとえば奇跡のガチョウがさらに見つかるかも!という希望にかけて、飼育するガチョウの数を増やすとか…、そうしたらいつか大農家になっていたかも、でしょ!

まあ、早く、楽に、大金持ちになるようなうまい話はないですけどね…。

まとめれば、

もっと欲しいと思ったとき、方法とリスクを検討する。
持っているものを失う可能性があるときは、特に注意!

とはいえ、
簡単に、そして楽に富を得る方法はなかなかないですよね。

ネコとネズミ

「猫と鼠」日本語訳

「ネコとネズミ」

あるところに、ものすごくネズミの多い家がありました。一匹のネコがその話を聞いて、「それは好都合ね」と思い、その家に住み着いたのです。

ネコはそこで、次々とネズミを捕まえて食べています。ついにネズミは、もう耐えられないと、巣穴に閉じこもることを決めました。


ネコは「困ったわね。なんとか油断させて、おびき寄せないといけないわ」
そう呟き、しばらく考えてから、壁の上にのぼりました。そこにある杭に後ろ足をかけてぶら下がり、死んだふりをしたのです。

しばらくすると、一匹のネズミが外の様子をうかがい、ぶら下がっているネコを見つけました。そして大声で言いました。

「ははは! ネコさん、あなたはとても頭がいいですね。それは間違いないですとも。でも、万一、ネコさんが食料袋に姿を変えてぶら下がっていたとしても、それでもわたしたちはネコさんに近づいてつかまったりはしませんよ」

一度危険だと見抜いた相手のことは、どれほど無害に見えても、賢者なら騙されることはありません。

THE CAT AND THE MICE
There was once a house that was overrun with Mice. A Cat heard of this, and said to herself, “That’s the place for me,” and off she went and took up her quarters in the house, and caught the Mice one by one and ate them. At last the Mice could stand it no longer, and they determined to take to their holes and stay there. “That’s awkward,” said the Cat to herself: “the only thing to do is to coax them out by a trick.” So she considered a while, and then climbed up the wall and let herself hang down by her hind legs from a peg, and pretended to be dead. By and by a Mouse peeped out and saw the Cat hanging there. “Aha!” it cried, “you’re very clever, madam, no doubt: but you may turn yourself into a bag of meal hanging there, if you like, yet you won’t catch us coming anywhere near you.”
If you are wise you won’t be deceived by the innocent airs of those whom you have once found to be dangerous.

教訓:危険認定した相手は見た目が変わろうと油断しない!

でも…、それって心が狭くない?

人間、誰にだって苦手なひと、心の中で危険アラームが鳴る相手はいる。そしてそんな相手が、変わったように見えても、心を許すなっていうの!?

すこし、心が狭いな、と感じちゃうかも…?

でも、弱肉強食世界のネズミから見たネコの危険度は、マジ命に関わる危険です。ネズミにとってのネコは、人間にとっては自然災害のレベル

危険認定する対象は、人ではなく自然災害!

台風や豪雨には油断しない!
ちゃんと対策して、安全な場所にいること!
大丈夫そうに見えても、うかつに近づいてはダメ!

ネズミ同士…人間同士でも、命の危険を感じた相手には油断しない

おまけに、「一度、嫌なことを言われたり、されたりしたあの人、あの人がずっと嫌いだし、正直怖い。」

けっこう昔のことなのに、いつまでも忘れられない。「私…、心が狭いかな?」って不安になるかもしれないけど、そんなことはないと思います!

見た目が変わっていても、どうしても許せない相手、心を許せない相手もいる。
それは、それほどの危険を感じたということなのだから、その相手を警戒し続けることは、心が狭いのではなく、大事な危機管理♪

「厄介者となった犬」

「厄介者となった犬」

ある一匹の犬の話です。その犬は特に理由もないのに、人に噛みつこうとしたり、実際に噛みついたりするので、その家を訪れるみんなにとって、ひどい厄介者となっていました。
飼い主は、この犬が近づけばみんなが気づくように、犬の首に鈴をつけました。

犬はこの鈴を大変誇らしく思ったので、大満足でわざと鈴の音を響かせて歩きます。

ところが、そこに年老いた犬がやってきて、こう言いました。
「やあ、そんなに得意にならないほうがいいぞ。まさか、お前さんにはわからないのかな。その鈴はご褒美じゃない。それどころか不名誉な印なんだぞ」

悪名を、名声だと誤解してしまう者も多い。

THE MISCHIEVOUS DOG
There was once a Dog who used to snap at people and bite them without any provocation, and who was a great nuisance to every one who came to his master’s house. So his master fastened a bell round his neck to warn people of his presence. The Dog was very proud of the bell, and strutted about tinkling it with immense satisfaction. But an old dog came up to him and said, “The fewer airs you give yourself the better, my friend. You don’t think, do you, that your bell was given you as a reward of merit? On the contrary, it is a badge of disgrace.”
Notoriety is often mistaken for fame.

教訓:注目を浴びるのは、良いこととは限らない…。

注目を浴びたときは、その理由を考えて、悪名なら行動を修正すべき。   

現代では、悪名と知っていながら利用する者がいることも知っておく。

「悪名は無名に勝る」!?
数十年前に某政治家、あるいはナベツネさんが言ったという言葉が最初だそうです。

最近なら迷惑系の発信者や、炎上商法といわれるものも、「悪名は無名に勝る」の実践派ですね。ただし、悪名を利用した者は一時的には注目を浴びて(視聴回数を稼いで)も、長続きはしないんですよね。

たかしくん
たかしくん

悪名を利用するひともいるけど、長くは続かないのね。
注目されたときはその理由を考えて、必要なら行動を修正すべし。

…あ! 1周回って、オリジナルのまんまになった。

現実は、一方では名声も、他方では悪名になりえる…けど、考えすぎたら行動できない

このページもそうですが、SNSなど、不特定多数が触れる情報においては、

誰かを救ったり、喜ばせようとした発言や行動が、実際に助けることができても、別の場所で他の人を傷つけることがありえる時代みたいです。

こういうことを考えすぎると、発信そのものが少し怖くもなりますが、何もしないでいるのは後ろ向きすぎるので、意識はしつつもがんじがらめにならないようにしたいです。

そして、いつもと違う注目を感じたら、しっかり振り返って、必要なら修正していきましょう。

炭焼きと縮絨工

炭焼きと言えば竈門炭治郎?
炭焼きさんは、まっすぐな人が多いのかしら、ここで登場する炭焼きさんも、まっすぐで相手の事情を考慮しないところがちょっと似てる…かな。

日本語訳「炭焼きと縮絨工」

「炭焼きと縮絨工」

あるところに独り暮らしの炭焼き職人がいました。その近くに、ひとりの縮絨工が引っ越してきたんです。

炭焼きは、知り合いになった縮絨工と話をしているうちに、相手が一緒にいて気持ちのいい人だと思ったので、炭焼きの家で一緒に住まないかと提案をしました。
「そのほうが、お互いのことがもっとわかるし、生活費なんかも節約できるだろう」と。
縮絨工は炭焼きの提案に感謝しましたが、返事は違いました。

「僕は、どうもそうは思えないんですよ。だってね、僕が苦労して一生懸命にきれいに仕上げた織物をみんな、君の炭が黒くしてしまうだろうからね」

THE CHARCOAL-BURNER AND THE FULLER
There was once a Charcoal-burner who lived and worked by himself. A Fuller, however, happened to come and settle in the same neighbourhood; and the Charcoal-burner, having made his acquaintance and finding he was an agreeable sort of fellow, asked him if he would come and share his house: “We shall get to know one another better that way,” he said, “and, beside, our household expenses will be diminished.” The Fuller thanked him, but replied, “I couldn’t think of it, sir: why, everything I take such pains to whiten would be blackened in no time by your charcoal.”

教訓:親しき仲にも利害相反の都合あり…。

炭焼き仕事は煤で汚れやすい仕事です。すべてを黒くしてしまう…といえば? 「鬼滅の刃」の炭治郎も、炭に汚れたほっぺたをお母さんに拭ってもらっていました。

縮絨工は織物を製品として完成させます。主に毛織物の洗浄…、付着している油脂分や汚れを取り除いてきれいにする仕事です。

利害が反する相手と、いい関係を続けたかったら、近づきすぎないほうがいい。

お誘いを断られたら、ついムッとしてしまうもの…

誘いを断られたときに反射的にムッとしてしまうことはありますよね。それから時間がたつと、考え無しだった自分の提案を恥ずかしく思って後悔したり、さらに落ち込むことも…。でもさらに時間がすぎて、落ち着いてから、相手の都合にも配慮して、改めてお誘いしてみましょうよ。

今度、仕事が暇なときに、一緒に釣りにでも行こうよ!とか。

それなら、家が煤だらけでも嫌がられないと思う!

youtubeでも作品を紹介、考察しています。

今回紹介した5作品の動画はそれぞれこちら
最初の2作品は1動画に収まっています。

「きつねとぶどう」と「金の卵を産むガチョウ」

「ネコとネズミ」

「厄介者になった犬」

「炭焼きと縮絨工」

再生リスト「イソップ童話の紹介と大人の考察」