英語圏のひとが日本のアニメを観るリアクション動画を見て「あれ?」と気になる単語が耳に残ることがあります。今回のdynamic/ダイナミックもそれ。
ダイナミックといえば派手な感じとか躍動感って意味だと思っていました。でもそれだとほとんどの場合に意味不明なんです。
実はdynamic(dynamics):人間関係、複数の人間の関係性、相互作用など。日本語にするとすこしかたいのですがそんな意味でした。この記事ではこのdynamicについて解説します。
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dynamic(s)が使われる場面、使われ方
英文はyoutubeの機能、自動英語字幕を参照しています。
(「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」で)
この三人のdynamicsが大好き
Sarah Pavanさん、youtubeチャンネル紹介ページ
「ハイキュー!! 」第1期 7話、自動英語字幕より
スガの、日向を気遣ったり落ち着くように励ましたりする素敵なdynamicが大好き
”I love the dynamic Suga is like be nice to him, like taking care of Hinata and making sure that he feels comfortable ” ※
またほかにもハイキューのリアクション動画(残念ながら一時的かな?非公開になってしまっているのですが)伊達工業との試合の前、西谷がはでに回転レシーブを決めてチームメイトがいつもの調子を取り戻す場面で
このdynamic大好き
I love the dynamic.
本編を観終わったあとにも
「前に言ったけど、このチーム全体のdynamicが大好き。みんなそれぞれ個性的で、全体はまとまって正しい方向へ進む役割を果たしていて、互いに助け合って‥‥‥」
“Like I said before, I love (like※)the whole team’s dynamic.(like) each person’s so different they all are (like) part of one cohesive/まとまりのある right thing and they all help each other ……”
※like:ここでは「えっと、だから、つまり」など、言葉を探すときの場つなぎのひとこと。文法的にも意味はないので()に入れました。
このdynamicは、これまで知っていた「ダイナミック」じゃない!ということで調べてみました。
日本語でよく聞くダイナミックとは
馴染みのある使われ方
- 映画や番組の宣伝などで使うダイナミックな映像
- スポーツやライブ演奏の中継などで聞くダイナミックなプレイ
- テレビの映像メニューのひとつ「ダイナミック・モード」
ダイナミックでイメージするのは
躍動的で、臨場感があって、生き生きとして、メリハリがきいて、鮮烈で、豪快ななど、です。
確認しましょう。
まず国語辞典から
ダイナミック | 意味 |
---|---|
形容動詞 | 動的なさま 力強く生き生きと躍動するさま |
うん、ここまでは納得。
でも冒頭の使用例 ↓ には合わない。
- 三人のdynamics
- 日向を気遣ったり‥略‥素敵なdainamic
- 役割を果たして助け合うdynamic
次は英和辞典
dynamic | 意味 |
---|---|
形容詞 | 生き生きとした 躍動的な |
名詞 | 力強いさま 動的 挙動 (音楽で)音の強弱 |
お!(^O^)! 挙動! なんか使えそう。
スガの、日向を気遣ったり落ち着くように励ましたりする素敵な行動(or 態度、言葉、働きかけ)が大好き
うん、こっちはこれでいいかも。
そしてもうひとつはdynamicsと、複数形のほうです。これも「三人の行動」?
複数形 dynamics で検索してみる
「dynamics meaning」の検索結果より、今回の例に合うかも、という意味を抜き出しました。
意味の日本語は、今回の状況に寄せてます。
辞典 サイト | meaning 意味 |
---|---|
Oxford Language | the forces or properties which stimulate growth, development, or change within a system or process. 集団のなかで成長、発展、変化を促す力や性質 |
Collins | those forces that produce change in any field or system いかなる方向であれ集団のなかで変化をもたらす力 |
Longman | the way in which things or people behave, react, and affect each other 人々が互いに行動、反応、影響を与え合う状況 |
英語学習者向きともいわれるLongman、わかりやすいです。
どうやら今回の dynamicsの意味が見えてきました。
loveやlikeといった好意的な会話で使われることが多いのも納得です。
冒頭の文例は dynamics 、少し説明的ですが↓みたいな意味でしょうか。
(鬼滅の刃や呪術廻戦で)
三人がお互い影響しあって(成長して)いるのが好き
カタカナ語は要注意
気になっていた「ダイナミック」についてはだいぶすっきりしました。
今回は馴染みのカタカナ語で意味が通らないから気になって調べましたが、カタカナ語のままでも微妙に意味が通じていたら、気づかずに通り過ぎていた可能性が大きいなぁ。
余談:日本語のダイナミクス:力学ってなに?
最後に余談というか、ダイナミクスと使っている言葉に出会いました。チームダイナミクス、グループダイナミクス、ファミリーダイナミクスなど。
論文など硬い文書が多かったので、今回はあまり深入りしませんでしたが、こちらも難しそうです。
group dynamics/集団力学
集団が個々のメンバーに影響を与え、同時に個々のメンバーの言動が集団全体の方向性や性質に影響する
マネージングや家庭環境について勉強していると、こちらの使い方のほうが馴染みがあるんでしょうか。
生活や専門分野の違いによって、言葉(単語)に抱くイメージが変わってくるのでしょうけれど、専門用語に多いカタカナ語は特に違いが大きいかもしれません。
まとめ dynamic/ダイナミックはチームスポーツや人間ドラマには不可欠
使われ方からみてdynamicを訳すとしたら
- 人間関係、関係性
- メンバー同士のコミュニケーション(やその結果)
- メンバーの言動や、その言動が互いに与える影響
- 個々のメンバーが集まった結果、チームが成長するようす‥‥‥など。
深いです。ダイナミックって大事ですね。